第1回 幕賓研究会(その1)帝王学・幕賓・陽明学

 

はじめに

本記事をお読みいただき、ありがとうございます。

「帝王学」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、恐らく「幕賓」という言葉は、普通に生きているだけでは、一生涯聞くことがない言葉だと思います。

2月に、初めての研究会を開催しました。本記事は、研究会の内容をまとめたレポートになります。

初回ということで、まずは、簡単に主催者の吉武大輔がどのようにして幕賓を知り、幕賓を目指すことになったのかをお伝えできればと思います。

 

安岡正篤先生との出会い

吉武大輔が幕賓という言葉と出会ったのは、大学生4年の2008年。様々な分野の書籍を読み漁っていた中で、人の上にたつ人間が学ぶ学問「帝王学」を知り、その中でも歴代総理の指南役、昭和のフィクサーと呼ばれる安岡正篤先生の存在を知りました。

安岡先生の生き方や考え方に惹かれ、調べを進めていく中で、安岡先生の命日が1983年12月13日であることを知りました。実は、自分の誕生日が1986年12月13日で、安岡先生の命日からちょうど3年後だったこともあり、勝手にシンパシーを感じたことも一つのきっかけになります。

「自分も新しい時代を創るリーダーたちの幕賓になりたい。」その想いから帝王学や幕賓について学び始めました。

当時の幕賓と呼ばれる人達というのは、単なる学者とか研究者ではなく、人の上に立つリーダーたちに必要なアイデアや発想を与え、公私ともに相談に乗る役割を果たしていました。常に一緒にいるわけではないが、必要な時に必要な英知を授けるのが幕賓の特徴です。

幕賓の定義はこちら

 

帝王学の三原則

帝王学とは、「人の上に立つ者が身につけておかなければならない学問」つまり「人間学」であり、三つの原則があります。

1.原理原則を教えてくれる師を持つこと

2.直言してくれる側近を持つこと

3.よき幕賓を持つこと

 

帝王学の三番目の原則に当てはまる幕賓とは、一般的な概念では、外部アドバイザー・社外取締役のような立場です。

一流の幕賓であるための二つの資格、「胆識」と「浪人的風懐」以外に、個人的に思う幕賓の条件として、「幅広い人脈を持ち、リーダーとリーダーを繋げる存在であること」も必要ではないかと考えています。

『 現代の帝王学』以外に、幕賓の定義を示している文献なども引き続き探していきたいと思います。

 

帝王学と陽明学

帝王学を学び始める中で、日本における帝王学の根底には、「陽明学」の要素が含まれていることを知りました。

陽明学は、中国の民代に王陽明がおこした儒学の一つであり、心即理・知行合一・致良知などを中心にした実践学問です。

江戸時代までは朱子学が中心に学ばれていた中で、長州藩・薩摩藩など幕末の志士たちを中心に、陽明学の思想が広がり、明治維新につながったとも言われています。

吉武大輔自身、陽明学者の林田明大先生とご縁をいただき、2013年から姚江の会 東京の事務局をお手伝いさせていただいたこともありました。

ですが、本サイトはあくまで幕賓について学ぶことを目的としているため、帝王学や陽明学について理解しつつも、主たるテーマを幕賓に置くことを忘れずにいたいと思います。

陽明学を学びたい方は、林田先生の【新装版】真説「陽明学」入門 がオススメです。

 

今後の学び方

幕賓研究会は、歴史上の人物を研究する会ではなく、あくまでも幕賓の成り立ちや条件、あり方を学ぶことを通じて、自分たちが幕賓として生きていくことを重要視していきます。

ですが、人物の一生を追いかけないと見えてこないこともあるため、何がその人を幕賓としたのか、どのような経緯でその人は幕賓になったのか、何があってリーダーはその人を幕賓としてんだのかなども、追求していきたいと思います。

基本は、関連書籍を中心に自主学習を進めていきながら、幕賓に関する項目などを抜粋し、本サイトにまとめることを主たる活動にします。

基本的に、毎月第1月曜日の10時から1時間半程度、オンラインで学習していますので、参加希望の方は吉武大輔までお問い合わせください。

参加希望の方へのお願いと条件は、以下の4点になります

① 研究会までに課題図書を読んでおくこと

② 研究会の動画を、参加者全員で分担して、文字起こしすること

③ その月の月末までに、A4一枚のレポートを提出すること

④ 学んだ内容は、吉武大輔によって編集され、本サイトに公開されること